1978-12-20 第86回国会 衆議院 外務委員会 第2号
○大森説明員 国際法上の規定について御説明申し上げます。 公海条約の第十二条におきまして次のような規定がございます。「いずれの国も、自国の旗を掲げて航行する船舶の船長に対し、船舶、乗組員又は旅客に重大な危険を及ぼさない限度において次の措置を執ることを要求するものとする。」このようにございまして、(a)項といたしまして「海上において生命の危険にさらされている者を発見したときは、その者に援助を与えること
○大森説明員 国際法上の規定について御説明申し上げます。 公海条約の第十二条におきまして次のような規定がございます。「いずれの国も、自国の旗を掲げて航行する船舶の船長に対し、船舶、乗組員又は旅客に重大な危険を及ぼさない限度において次の措置を執ることを要求するものとする。」このようにございまして、(a)項といたしまして「海上において生命の危険にさらされている者を発見したときは、その者に援助を与えること
○政府委員(大森誠一君) 一言私から、アジア局長が申されましたことにつきまして例を引いて補足いたしたいと存じます。 平和友好条約というものが戦後処理の条約でないという前例といたしましては、一九六〇年に中国とネパールとの間に結ばれました条約がまさしく平和友好条約ということでございます。
○政府委員(大森誠一君) 先に私からお答え申し上げます。 日中共同声明につきましては、これも先般来御説明申し上げておるところでございますが、わが国の法的立場にかんがみまして、この日中共同声明というものは国会の御承認を求める事柄を含んでいなかったということのために、国会の御承認を仰ぐことなく憲法第七十三条第二号に言うところの外交関係の処理ということでなされたわけでございます。その意味で、講和条約的な
○政府委員(大森誠一君) ただいま先生がお述べになりましたように、わが国の立場といたしましては、日本と中国という国との間の戦争状態の終結の問題、あるいはその他の戦後処理の問題は、一九五二年の日華平和条約によって処理済みというのが私どもの法的立場でございます。 で日中共同声明発出に際しましては、先般も申し上げましたように、中国側と日本側との間に、この点をめぐりまして法的な立場について見解の相違がございました
○政府委員(大森誠一君) まず初めに、先生がおっしゃられました中国側の鄧小平副総理の来年四月には中ソ同盟条約の廃棄のために必要な措置をとるという発言でございますが、これは一国の副総理、党の副主席が一国の外務大臣に対しまして言明したところでございますし、その後、わが国の報道関係責任者の訪中団に対しましても、鄧小平副総理が発言されているというふうに承知いたしておりますし、きわめて重い意味を持っているところでございまして
○政府委員(大森誠一君) 日中平和友好条約というものは、先ほどアジア局長が述べましたように、日中共同声明第八項というものから双方がこの締結を約束し合ったというかかわりがございます。しかしながら、日中間の戦後処理、とりもなおさず平和条約的なもの、そういうものは日中共同声明で日中問の戦後処理の問題は最終的に解決済みである、こういうことにつきましては日中双方に全く見解の相違はないところでございます。したがいまして
○政府委員(大森誠一君) 国際法の観点からの御説明を申し上げたいと存じますけれど、大筋につきましてはただいまアジア局長が発言されたとおりでございます。 若干補足して申し上げますならば、一つの国に、国際法上、他の国が二つの正統政府を認めるということは、これはあり得ざるところでございます。当時、一九五二年当時でございますが、わが国は中国という国を代表する正統政府としては中華民国政府をそういうものとして
○大森政府委員 あの際私が発言いたしました冒頭におきまして申し上げたことは、日中共同声明というものが日米安保条約にかかわりなく発出されましたと同様に、日中平和友好条約の調印は日米安保条約にかかわりなく達成された、調印されたということを冒頭に申し上げてあるわけでございます。その「かかわりなく」という意味は、特にこの問題が日中の、この問題と申しますのは、日米安保条約が、日中共同声明を発出するにつきましても
○大森政府委員 お答え申し上げます。 昨日私が申し上げましたように、戦争状態の終結というものにつきましては、一般的に申し上げまして、当事国間の平和条約の締結で終了するのが通常でございます。しかしながら、それ以外のケースというものも先例としてあるわけでございます。幾つかの例を申し上げますと、たとえば、これはいわゆる第二次大戦前の古い時期にさかのぼりますが、単純な戦争行為の終止ということによって戦争が
○大森政府委員 日華平和条約の中には、戦後処理を解決するという通常の平和条約に見られます処分的な性格の条項があるわけでございます。これらの処分的な条項につきましては、この日華平和条約が効力を発生した日をもってすでにすべて決着を見る、こういうことでございます。 それから、先ほど申し上げましたように、わが国としては、不法、無効であるという中国政府の法的な立場にはくみし得ないという立場を当初からとったわけでございます
○大森政府委員 先ほど先生がおっしゃいましたように、サンフランシスコ平和条約第一条というものがございます。このサンフランシスコ平和条約には中華民国は参加しなかったわけでございます。そこで先生も御指摘のように、当時の中華民国とわが国との間で平和条約を結ぶ、こういうことになったわけでございます。わが国といたしましては、ポツダム宣言を受諾しました、そのポツダム宣言に参加している中国というものが中華民国政府
○大森政府委員 私といたしましては、先ほど申し上げましたように、第二条の中に置くよりは、むしろこの条約全体を受けまして、この条約のいかなる規定もわが国と第三国との関係に関する立場にいささかの影響も及ぼすものではないという、かかる留保条項の性格にかんがみまして、第二条の中に置かれるよりは、実体規定の一番最後に第四条として独立して置かれることが最も適当であり、かつ望ましいというふうに考えている次第でございます
○大森政府委員 まず第一点の、同床異夢という点についてお答え申し上げます。 先生がただいま御指摘になりましたように、およそ条約においては玉虫色のような解決というものは避けられるべきであるという点については、私も全く同意見でございます。今回の日中平和友好条約につきましては、日中双方の間に玉虫色的な解決が図られたという点は全くございません。 次に、第二点についてお答え申し上げます。 先ほど先生がおっしゃいました
○大森政府委員 ただいま先生の御質問は、領土についての有効支配という御質問であろうかと存じます。 国際法上、領土の有効な支配という点につきまして、特に明確な定義があるというわけではございませんけれども、まず領土という点について申し上げますと、国家が領有する陸地を言いまして、国家はその領土に対して主権を有するとされております。この主権は領土権あるいは領有権という言葉で表現されることもございます。この
○政府委員(大森誠一君) 日ソ共同宣言の第三項は以下のごとくでございます。 日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、相互の関係において、国際連合憲章の諸原則、なかんずく同憲章第二条に掲げる次の原則を指針とすべきことを確認する。 (a) その国際紛争を、平和的手段によって、国際の平和及び安全並びに正義を危くしないように、解決すること。 (b) その国際関係において、武力による威嚇又は武力
○政府委員(大森誠一君) ただいま御指摘のこの輸送の件でございますけれども、この点については必ずしもジュネーブ条約ということでは特段の規定はございませんで、一般的に言って人道的な待遇を与えるべしということがこの条約の本旨でございます。そこで輸送といったような措置、その点が現行の国内法令あるいは自衛隊法の規定の中で十分であるかどうかという点は検討されるべき事柄であろうかと存じます。現在その点について国内法制
○政府委員(大森誠一君) お答え申し上げます。 先生御指摘の点は一九四九年のジュネーブ条約、その捕虜の待遇に関するジュネーブ条約に関達しての御指摘であろうと存じます。 この条約につきましては、先生御承知のように、たとえば食糧等について十分与えなければならないとか婦女子を手厚く保護しなければならないといったような規定が設けられているわけでございますけれども、この条約の趣旨は、捕虜というものを人道的
○大森政府委員 私からお答え申し上げます。 日中平和友好条約は、今後の日中両国間の平和友好関係を一層強固にし発展させるという目的のために結ばれた条約でございます。この条約が、表題におきまして平和友好条約という「平和」という言葉を用いておりますのは、日中間の平和的及び友好的な関係を強化するという条約の趣旨を明らかにするためでございまして、平和条約という性格のものではございません。日中間の戦後処理の問題
○大森政府委員 ただいま御指摘の台湾条項についてでございますが、これは一九六九年当時の両国首脳の台湾地域の情勢に対する認識を述べたものでございますが、その後情勢は大きな変化を遂げており、すでに従来から繰り返し申し上げておりますように、この地域をめぐります武力紛争が現実に発生するという可能性は非常になくなったというふうに私どもとしては確信しているところでございます。そういう背景に照らしまして、このような
○説明員(大森誠一君) 先ほど大臣が申されましたように、日中国交正常化というものが日米安保条約にかかわりなく達成されたのと同様に、このたびの日中平和友好条約は日米安保条約にかかわりなく調印されたものでございます。 今次交渉の過程におきまして、日本側より、わが国の外交政策において、日本と米国の特別な協力関係は今後ともわが国の対外関係の基軸であり、日米安保条約体制はわが国の安全保障を支える一つの大きな
○説明員(大森誠一君) この条約は、前文の最後のところで明らかにしておりますように、日中両国間の平和友好関係を強固にし、発展させることを目的として結ばれたものでございます。 そこで、ただいま御質問の「影響を及ぼすものではない。」という点でございますけれども、先ほど申し上げましたように、この条約は全体として、いずれの締約国もいずれの締約国が第三国との間でとっている関係に影響を及ぼすということはないということをはっきりさせているものでございます
○説明員(大森誠一君) 第四条の趣旨についてまず御説明申し上げます。 第四条は、第一には、この条約が各締約国がそれぞれ第三国との関係でとっている立場には何ら影響を及ぼさないことを明確にしたものでございます。このことは、いずれの国とも体制のいかんを問わず友好関係を維持し発展させるというわが国外交の基本的立場がこの条約のいかなる規定によっても影響を受けるものではないことが明確に確認されているところでございます
○大森説明員 お答え申し上げます。 この条約の第二条は、その中の「いかなる」との語からも明らかなとおり、本来だれそれという特定の国をあらかじめ対象とするものではなくて、覇権を確立しようとする試みがあれば、それがどの国であってもこれに反対する旨を規定したものであります。したがって、法律的、理論的に、この規定により、わが国は何ら特定の第三国を敵視し、これに対抗する約束を行っていないことは明確でございます
○大森説明員 お答え申し上げます。 ただいま御質問の覇権という言葉につきましては、米中共同コミュニケにおいて述べられまして以来、一九七四年に国連総会において採択されました諸国家の経済権利義務憲章や最近六月に開催されました八十五カ国が参加しての非同盟外相会議におきまして採択された宣言等に見られますように、国際的に広く受け入れられている概念でございます。日中条約におきましては、覇権とは何かということは
○大森説明員 お答え申し上げます。 日中国交正常化が日米安保条約にかかわりなく達成されましたのと同様に、今次日中平和友好条約は日米安保条約にかかわりなく調印されたものでございます。 今次交渉の過程におきまして、日本側は、わが国の外交政策において日本と米国の特別な協力関係は今後ともわが国の対外関係の基軸であり、日米安保条約体制はわが国の安全保障を支える一つの大きな柱であり、これを堅持する旨を述べましたところ
○大森政府委員 憲法の具体的な条文でそのような趣旨が述べられている点はございませんけれども、憲法の前文中に、先生御承知のように、「日本國民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」このようなくだりが日本国憲法の前文中にございます。わが国としてはあくまでも平和に徹していくということがこの
○大森政府委員 ただいま日韓両国政府間には、紛争の解決に関する交換公文というものがございます。そこで、外交上の経路を通じて両国間の紛争は解決するものとして、「これにより解決することができなかった場合は、両国政府が合意する手続に従い、調停によって解決を図るものとする。」このような取り決めが両国間でなされているわけでございます。 そこで、ただいま土井先生御指摘の、一方的にわが国が国際司法裁判所に提訴するというのは
○大森政府委員 先般、先生が御指摘になりましたフォーラム・プロロガトゥムの原則とは、本来はローマ法上の概念でございますが、国際司法裁判所の管轄権の基礎としては概略次のように考えられていると存じます。 すなわち、一方の紛争当事国がその紛争を含むような範囲の裁判管轄権受諾を行っておらず、被告として裁判所の権能に服する意思があるかどうか不明な場合において、原告として提訴を希望する紛争当事国が、相手当事国
○政府委員(大森誠一君) ただいま先生御指摘の一九七四年に国連総会で採択されました「侵略の定義」につきましては、その前文中でも明らかにしておりますように、これは国連憲章第三十九条に規定しております侵略行為に関して安保理事会がその存在を決定するに際し用いるガイドラインとして作成されたものでございます。したがいまして、ある国のある行為が侵略であるか否かがその定義によって直ちに決定されるといった性質のものではございません
○政府委員(大森誠一君) このパンフレットで扱われております大陸だなについての境界画定の部分につきましては、これはできるだけ簡明に趣旨を述べるということから、そのくだりの一番最後のところに、「排他的経済水域の境界画定の条項(第七四条)と同趣旨の規定振りとなっている」ということを明記してございまして、こういう書き方によって、第七十四条と同趣旨であるということを簡略してこのように記述したものということで
○政府委員(大森誠一君) 原文におきまして七十四条と八十三条を比較いたしますと、七十四条におきましては、第四項において、中間線または等距離線についての定義条項を設けておりますが、それ以外は全く同じ規定ぶりとなっております。
○政府委員(大森誠一君) 第二に、他に全くこれを防衛する手段がないこと、第三に、必要な限度にとどめなければならないこと、このような三要件に合致するようなケースにおきましては、自衛権の発動ということはあり得ると考えられます。しかしながら、実際に施設、船舶等のみに対しこのような攻撃があるとは思われないのでございます。 いずれにせよ……
○政府委員(大森誠一君) 私どもといたしましても、共同開発区域における探査、採掘活動の安全の確保につきましては大きな関心を有しているところでございますが、この問題にどのように対処するかという点を、ただいま先生御指摘の御質問に対してお答えいたします前提といたしまして、まず共同開発区域の法的性格について一言申し述べさせていただきたいと存じます。 共同開発区域につきましては、これがあたかも国家の主権が全面的
○政府委員(大森誠一君) ただいまの海上保安庁長官の御答弁の一部について補足させていただきますと、船舶につきましては大陸だなの共同開発区域は公海でございますので、原則として旗国主義に従うことになるわけでございます。 海洋汚染防止の点につきましては、先ほどの長官の答弁のとおりだと存じます。
○政府委員(大森誠一君) 私の方からは、事務的にこの経緯について御説明申し上げますと、繰り返しになりますけれども、先生御指摘の「侵略の定義」と申しますのは、あくまでも国際連合の安全保障理事会が侵略行為の存在を決定するに際してのガイドラインとしての性質を有するものでありまして、ある行為が侵略であるか否かがただいまの定義によって直ちに決定されるといった性質のものではございません。
○政府委員(大森誠一君) 侵略という概念につきましては、一般には他国に対する違法な武力の行使を中心とする行為と考えられておりますが、国際法上一般的に確立された法的概念といたしまして「侵略の定義」があるわけではございません。先ほど先生御指摘の国連における「侵略の定義」についての決議の採択でございますが、これは国連憲章第三十九条が示している安保理事会による侵略行為の存在の決定に際して、安保理事会のガイドライン
○政府委員(大森誠一君) 三条で(a)から(g)まで種種の規定がございますが、それらを含めまして、(g)項では、「上記の諸行為に相当する重大性を有する武力行為を他国に対して実行する武装集団、団体、不正規兵または傭兵の国家によるもしくは国家のための派遣またはかかる行為に対する国家の実質的関与」、このような規定ぶりとなっております。
○大森政府委員 いま先生がおっしゃいました国際司法裁判所への提訴の問題でございますか、国際司法裁判所規程に、当事国となっていない国、非当事国を相手とする訴訟が国際司法裁判所に係属するためには、その非当事国が自発的に国際司法裁判所の管轄を受諾し、その判決を誠実に遵守するといった趣旨のことを含んだ宣言を国際司法裁判所に寄託することが必要であるとされておりますので、相手国側かみずから進んでこのような宣言を
○政府委員(大森誠一君) ただいま申し上げましたような次第でございますので、日中平和友好条約というものが成立いたしました暁にも、この問題を含めまして日米安保体制というものを変更するというような考え方は持っていない次第でございます。
○政府委員(大森誠一君) 今回の日中平和友好条約交渉というものは、先ほど来お話が出ておりますように、日中共同声明を基礎として交渉が行われるということでございます。この日中共同声明が出されました際に、日米安保条約というものに触れられることなく日中間の国交が正常化されたということがございますので、今回の日中平和友好条約というものがまとまりました場合にも、それが日米安保体制というものに影響を及ぼすことはないというふうに
○政府委員(大森誠一君) 共同声明は、通常、首脳会談のような重要な会談に際しまして、その内容を公表する目的で双方が合意の上作成する文書でございます。共同声明は、通常、法律的権利義務関係の設定といったような合意を構成する文書ではございませんから、その意味では、政治的には重要な意味を持ちますけれども、権利義務関係を設定する条約とは異にしているという点かございます。
○大森政府委員 わが国といたしましては、ただいま先生御指摘の条文というものを適用して脱退するというようなそういう意図は持っていないわけでございます。
○大森政府委員 先ほど大臣から述べられましたように、日中共同声明におきまして、わが国は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるという中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重するとの立場をとっております。したがいまして、中華人民共和国政府と台湾との間の対立の問題は、基本的には中国の国内問題であるというふうに考えるところでございます。わが国といたしましては、この問題が当事者間で平和的に解決されることを
○政府委員(大森誠一君) 先ほどアメリカ局長からも説明がございましたように、わが国にある米軍施設区域について、安保条約第六条に基づきまして、単にわが国の安全のみならず極東の平和と安全の維持のために米軍が使用することを認められているものでございます。で、日本におりますこの米軍が、いま申し上げましたような目的の範囲内でその練度を高めるということで演習するということは、これは安保条約上認められているところでございまして